欧州・その他2025年10月2日

AIがナチス犯人特定に貢献、ホロコーストの悪名高い写真で

出典: The Guardian Tech元記事を見る

歴史家がAIを活用してホロコースト時の殺害写真に映るナチスの犯人を特定。長年の謎が解明される可能性が高まる。

歴史の暗い時期における一つの写真が、技術の進化と献身的な研究によって新たな光を浴びています。この写真は、「ヴィンニツァの最後のユダヤ人」と長年誤って呼ばれ、ウクライナで撮影されたもので、眼鏡をかけたナチス兵士が、埋められた死体の穴の前にひざまずく男性の頭部に銃を向けている様子が記録されています。

米国に拠点を置くドイツ人歴史家のユルゲン・マテウスは、この写真に映る犯人の特定に長年取り組んできました。彼は人工知能(AI)の力を借りて、ついにこの謎を解くことに成功したと確信しています。彼の研究は、尊敬される学術誌「Zeitschrift für Geschichtswissenschaft」(歴史研究誌)で公開されました。

マテウスの研究は、伝統的なアーカイブの調査、幸運な発見、同僚からの意見、そしてオープンソースジャーナリズムグループBellingcatのボランティアからの先駆的な支援による「段階的プロセス」を経て進められました。AI技術の専門家によると、この写真の解析結果は異例の高い一致率を示しています。

この事件の犯人として特定されたのは、ナチ党にヒトラーが権力を握る前の1933年に加入していたジャコブス・オネンです。彼は教養ある家庭出身で、若いころは「旅行や言語学習」を楽しんでいました。

マテウスは、「デジタルツールの人文科学での使用は大幅に増加しているが、質的分析にはあまり用いられていない」と述べています。AIの利用は、「銀の弾丸」ではなく、多くのツールの中の一つであり、人間の要素が鍵を握ると強調しています。

この研究は、AIが歴史の謎を解明する上でどのように役立つかの一例を示しています。同時に、人間の研究者の役割がいかに不可欠であるかをも示しています。今後も技術の進化によって、歴史の暗部に新たな光が当てられることが期待されます。

#AI#ホロコースト#歴史